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町田樹さんとAtelier t.e.r.m

AS研究序説

じゃーん!!
ついに押しの単著が6月に発売されました〜〜っ!!
「アーティスティックスポーツ研究序説」
フィギュアスケートを基軸とした創造と享受の文化論



町田さんの博士論文を、一般向けに加筆修正したもので、413ページもの大著。オール横書き学術書なのでスラスラ読めるものではありませんが、普通に一般人にも面白い内容です。

我々は日頃深く考えることもなく「この人の演技は芸術的」「表現力がある・ない」などと言っていますが、その点を学術的に深く掘り下げ、美的(aesthetic)と芸術的(artistic)と分けて論じている点が非常に面白かったです。
2013年のアダム・リッポンの「牧神の午後」という競技プログラムを批評することによって、成績だけでは伝わらないフィギュアスケートの魅力を語っているのが圧巻。

スケオタ必読書〜!!って感じです。

本の出版に合わせてここのところ毎週のように新聞や雑誌にインタビューがのるわ、ラジオに出演するわ。
町田さんがプロ引退した時は「いつか必ずお会いしましょう」などと書いたもんですが、ここのところしょっちゅうお会いしているような…(嬉)

さて、この本のあとがきに、町田さんは今までお世話になった先生方に丁寧なお礼を書かれています。
そして、私のようなコアな町田樹ファンにとっては、今までの色々な事柄が、霧が晴れたようにはっきりと明確につながって、暖かい思いで胸がいっぱいになる「あとがき」です。
無粋なネタバレはしませんが…





さてさて、実はプロを引退した1年後2019年の10月に、
「決定版作品集 そこに音楽がある限り」
フィギュアスケーター・町田樹の軌跡

という大型豪華本が新書館から出版されました。

そこに音楽がある限り


じゃ今年の本が初めての単著じゃないじゃん?と思われるかも知れませんが、実はこの本は「Atelier t.e.r.m 編・著」となっており、町田さんのホームページを見ると、

(町田さんの)執筆担当:「フィギュア・ノーテーション」pp.204-209. /「アーカイブが拓くフィギュアスケートの未来」pp.210-217.
となっています。つまり、この部分以外、本のほぼ全体は、Atelier t.e.r.mという謎の(匿名の)チームが執筆した本なのです。







ここから、わたしにとっての「Atelier t.e.r.mの謎」の思い出について書き出してみます。

我々町田樹コアファンが、初めてAtelier t.e.r.mという名前を知ったのは2015年10月27日。
よく覚えてるね?と思われるでしょうが、しっかりTwitterの記録を保存しているのです。
特に町田樹さんに関してはね!(えっへん)

この日 町田さんのホームページに、次の年も新作を発表するとのアナウンスと共に、今までのプログラムノートに新しく加えられた記載がありました。
現役最終年の2つのプログラム、「ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲」「第九交響曲」に、それ以前は

衣装・設楽友紀

とのみあったものが

Costume Plan (衣装原案):Atelier t.e.r.m
Costume Production (衣装制作):Yuki Shidara (設楽友紀)


と書き加えられました。

そして、その年のプロデビュー作「継ぐ者」には

Art Direction (監修):Atelier t.e.r.m
Costume Plan (衣装原案) : Atelier t.e.r.m

と書き加えられました。

最初に見た時、一体これ(Atelier t.e.r.m)は何て読むんだろう?と訝しく、こういうプロダクション会社があるんだろうかとググってみたり(笑)。
ヒットしないのですが、もしかするとこれは町田さんが新しく立ち上げた事務所なのか?と疑ったりね。

tとmの文字が最初と最後にあるから、タツキ・なんとか・なんとか・マチダみたいにイニシャルを繋げたものなのか?衣装原案とあるからデザイナーさんのアトリエなのか?とか、色々疑問が頭を飛び交ったもんです。

しかし、この年は「町田樹沈黙の2年間」の初年でした。

→ 沈黙は「アスリート町田樹を殺すため」 真意は? 研究者・町田樹が目指すもの㊤


まったくヒントが与えられないまま、翌年、2016年10月3日にはホームページに「2016年シーズンの公演を終えて」という文章で
「今年度もAtelier t.e.r.mの総力を持って制作した…」という記述が。
既にAtelier t.e.r.mとは皆の認知している制作陣との認識なのか(汗)

2017年、町田さんは後期博士課程に進学し、この頃からインタビュー解禁。
CaOIや平昌五輪で解説でTVに登場するわ、雑誌に連載を始めるわ、怒涛のような露出が始まります。
しかし、インタなどではAtelier t.e.r.mのことはまったく触れられず。それはオフレコで、ってことだったんでしょうね〜。

初めて彼の口からその名前に具体的な説明が出たのは、2018年のKiss&Cryという雑誌に載った連載
「プログラムという宇宙」音楽に触発される身体ー町田樹交響曲第九番」
でした。

2018年6月8日発売の雑誌。
今思えば、プロ引退の直前でしたね〜。
町田樹は、意図なくしてただ情報を出すことを決してしない男です。本当にそうでした。

この雑誌で、初めて私達は
Atelier t.e.r.mとは「アトリエ・ターム」と読むこと
「アトリエ・タームとは(筆者・つまり町田樹を含む)国内の芸術研究者およびアーティストで構成された匿名の制作者集団である」
と知ります。
さらに
「《第九》制作においてはプログラムのコンセプト、衣装原案、音楽選択と構成を発案し、総合監修を行っている」
とも。
プログラムのコンセプトは振付のフィリップ・ミルズ氏に託され、心から理解し制作してくださった、ともありました。
つまりミルズ氏は、Atelier t.e.r.mの一員ではないわけです。(実はすごく疑っていたw)

さらに、2018年6月14日に発売されたQuadruple Axel 2018のインタビューでは、
「現在の制作陣との出会いが私にとって革命に近いくらい、スケーター人生において最大の転換点になっています」
「共同制作になってから自分の価値観も大きく変わりました。やはり私ひとりだけではこれだけの作品はできません」

と、更に踏み込んだ発言を。

この次の日、6月15日に町田さんのホームページにプロ引退の知らせが載りました。
もうオタク心はズタズタで、しばらくAtelier t.e.r.mの謎も吹っ飛んでましたね〜(笑)

そして、次の年2019年10月に上記豪華本が出版されます。

→新書館の書籍のページ
ここに書いてある「刊行に寄せて」という文章で、初めての町田樹さん以外のAtelier t.e.r.mメンバーからの発信が。

「私たち(Atelier t.e.r.m)が初めて出会った頃の町田樹は、まだ真の自分に自信が持てない一人の青年スケーターでした」とあるので、現役のかなり早い段階から町田さんと繋がりがあったことがわかります。

豪華本を読むと、2009年「カサブランカ」のころ、つまり町田さんがシニアに上がった年から何かとアドバイスをしていたという記述が。そんなに以前からなのか。
以前TV番組で印象に残った言葉として、ある人に言われた「プログラムは消耗品ではない」というのをあげていたのですが、これはAtelier t.e.r.mメンバーの言葉だったとわかります。
最後の方のページに大きく2012年の町田さんの写真が。(若い!)
きっとAtelier t.e.r.mにとって思い出の写真なんだろうな〜と想像しましたが、読めば読むほど、ますます謎は深まるばかり。

匿名の複数の著者が、共同執筆して一人のスケーターを語る…
スケート技術があるのは町田さんのみで、他のメンバーは作品のコンセプトを共同で練り上げる。
長きにわたる活動なのに、ファンもマスコミも、だれもAtelier t.e.r.mの正体を知らない。
かなり珍しい事例ではないでしょうか。

→豪華本発売後の毎日新聞のインタビューでも、
アトリエの実像や「ターム」が指す意味については、「ご想像にお任せします」と笑うのみ。
とあります。
その存在について「競技者としても1人の人間としても支えてもらった。芸術的側面からサポートしてもらった」と振り返る。
とも。

本当に町田樹という男はミステリーだと思いましたね(笑)






さてさて、今あらためて研究序説を読み、もう一度去年の豪華本を読み返し、感じること。

現役最終盤に町田さんのファンになった私ですが、彼が沈黙を守っていた時、おそらくいろいろ辛い思いをしたであろう時、ファン目線ですが随分気をもんで見守っていました。
しかしどの局面でも、常に彼の素晴らしい理解者がいて、聡明な知恵を授けてくださっていたこと。
暗い大海原で一人迷った時も、決断を下さなくてはいけない時も、常に彼には信用に足る羅針盤があったこと。
そのすべての事柄に、とても心が暖かくなりました。

今回はネタバレしないよう文章を書いたので、町田コアファンの方以外は、何が何だかわからないでしょうね(笑)
申し訳ない〜。
研究者町田樹の研究者・keroの作文でした〜(爆)!!

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