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バイオリンと外宇宙の話 vol.2

ノイマイヤー「幻想〜白鳥の湖のように」

よくソウルフードとかソウルミュージックとか言うけど、私の幼少期の一番の「好物」ソウルミュージックは、チャイコフスキーの「Swan Lake, Scene 1: Valse (Tempo di valse)」だった。



小さい頃バレエに憧れていたのだけれど、親は習わせてくれず、舞台を見る機会もなくテレビでも頻繁に放送してくれるでもなく、しかしですね、なぜか親が買ってくれたレコードがあったのです。(LPレコードというものですよ)

そしてそれは、アンセルメ指揮・スイス・ロマンド管弦楽団 「白鳥の湖 ハイライト」だった。

よーく覚えているのだ。
湖に一羽の白鳥(本物)が浮かんでいるリアル写真のジャケットで、ライナーノーツにはロイヤル・バレエの上演をもとにかなり詳細にストーリが紹介してあった。
写真もあった。(白黒だけど)

ので、より具体的にどんなストーリーなのか、どういう舞台なのかと空想しやすかった。
ああ、今この音楽のところでは、バレエではこういう感じなんだろうかと、妄想をたくましく過ごした少女時代でありました。
そういう経緯もあり、未だに自分にとっては、どんなジャンルの音楽でも音楽とは「見るもの、踊るもの」と捉えているところがあるなあ。(いやね、もちろん自分は踊れないんですが)

さて、この「白鳥の湖」、後にテレビで実際のバレエ全幕を見たら「え〜なんか想像してたのとぜんぜん違う」…と失望したところも多々あった。
中でも、この大好きだった1幕目の最初のワルツが期待はずれ。

アンセルメとスイス・ロマンド管の音楽は、私にとって高貴な、何か香水のような未体験の音楽で、その中でこの1幕目の最初で演奏されるワルツは、若々しさと青春の喜びの舞踊でなければならなかった。(と信じていた。)
LPに書いてあったストーリをふまえても、ジークフリート王子にとってはその後の悲劇を前に、「最後の」無邪気な青春の煌めきであるべきだ(と信じていた)。
いや、当時の自分が、こういうふうに言葉で考えてたわけじゃないけど(笑)

しかし、TVでボリショイ・バレエとかマリインスキー・バレエで見ても、このワルツ、貴婦人と王子の友人が普通に踊ってて「あっそう」って感じで何だかなあでした。(笑)

…と、長々と大昔の思い出話を書きましたが。

実は先日、自粛期間のGW中、世界各国の色々なバレエ団が色々な作品の無料配信をしてくださった。
ハンブルグ・バレエ団の配信で、ジョン・ノイマイヤー振付 「幻想 白鳥の湖のように」も全幕見ることができた。



全幕をノーカットで見られたのは本当に良かった!

そして、私の好きな、この1幕目のワルツ、このノイマイヤー・ヴァージョンでようやく理想のワルツを見られたと感じました!!(このビデオでは1分08秒のところ)
この曲に惚れて以来ウン十年。

ノイマイヤーのこの「幻想〜白鳥の湖のように」では、原作のジークフリート王子は、バイエルンの狂王・ルートヴィヒ2世に読み替えられている。

精神を病んだルートヴィヒが、監禁された部屋で追想する過去…

1幕目は、ノイシュヴァンシュタイン城の築城の上棟を祝って、市民や職人たちが集まってくる。
そして、私のソウルミュージックである1幕目のワルツは、この市民や職人たちが上半身裸で相撲をとったり、力比べをしたり、鉄棒や竹馬、バイエルン地方?の遊びや市民の娯楽がたくさんでてくる。王と友人もボクシングをしたり、もう無礼講で乱痴気騒ぎ。
(その後の貴族の踊りとの好対照)

ノイマイヤー


このノイマイヤーのヴァージョンを見て、私が小さい頃から求めていた「Swan Lake, Scene 1: Valse」の理想のダンスが完成したのでした。(わーい)
若々しさと希望のようなものをこの音楽からずっと感じていたのだけど、それをこうしてルートヴィヒの時代における市民階級と貴族の対比として表現したノイマイヤー氏はすごい!!

全編素晴らしかったのですが、このワルツのところは無料配信期間、何回も何回も繰り返し見ました。

DVDは残念ながら売り切れみたいですが、また日本でも販売されないかなあ。

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