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バイオリンと外宇宙の話 vol.2

町田樹さんとKバレエ・「マダム・バタフライ」の話

台風すごかったですね〜!
幸い我が家周辺は停電も断水もなかったのですが、川の氾濫で大変なことになっている地域の皆様、心からお見舞い申し上げます。

さて、実は台風の前日、東京文化会館にKバレエの新作「マダム・バタフライ」を見に行ってきました!
台風の日と次のマチネは休演になったので運良かったです。

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カーテンコールは写真撮影可だったのですよ♪

Kバレエの熊川哲也氏の作風は、ロイヤルの影響が強いマイム多用の物語バレエなので、実は今回のマダムバタフライも行くつもりなかったのです。(どちらかというとエイフマンバレエみたいな方が好みな私)

ところが、先月のダンスマガジンで町田樹さんと熊川氏の「マダム・バタフライを語ろう」という対談記事がのりました!(しかも8ページもっ!!)

ダンスマガジン201910

ほらね〜表紙にもスペシャル対談ってしっかり書いてあります!

対談内容は、町田さんがKバレエのリハーサルを見学して、マダム・バタフライのバレエ化するにあたっての苦労とか、音楽の使い方とかはたまたフィギュアスケート論にいたりました。
大変興味深かったです。

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もともと熊川さんはフィギュアのエキシビション大会の審査員をつとめたことがあり、昔から町田くんを知ってたんですよね。
その時も「一篇のショートムービーを観るかのよう」と褒めて頂きました。(^^)
そして、町田さんが熊川氏の影響を多大に受けていることはスケートファンには周知の事実。
いんや〜対談実現して良かったね町田さん!
熊川氏も、プロになってからの町田さんの作品をしっかり見ていただいたようでとても嬉しいです〜。

で、町田さんがおすすめなら〜と、久しぶりにKバレエに足を運んだという次第です。(わはは)

さて、ここからはバレエの感想です。
まずこのプッチーニの「蝶々夫人」というオペラ、グランド・バレエ化するにはオペラの通りの音楽を使えない。

これが「カルメン」だったらそのまま使えるんですが、プッチーニだとアリアのナンバーを並べて劇が進行するのではなく、劇進行にそってテーマがライトモチーフみたいに散りばめられていたりする。ワーグナーの影響かわかりませんが。

なので、熊川さんもマエストロ氏も、かなり曲の構成や編曲に苦労されたでしょう。(対談でもその点触れられていました)

感心したのは、出だし「君が代」から始まり、プッチーニの「武家の運命のテーマ」につながっていく編曲。
紗幕の向こうでは、幼い蝶々さんが武士だった父親の切腹を見ている。そして、その後遊郭の遊女たちの手招きする方へと歩いていく。(短い時間で蝶々さんの運命を語っています)

その後、すぐに舞台はアメリカに。星条旗よ永遠なれのアメリカ国歌。
物語のテーマが2つの国の文化の対立だと鮮やかに提示している点、大変感心しました。
ここのところはドヴォルザークの音楽を使っています。
ピンカートンとケイトがここで出てくるわけですが、まあここは少し長さを感じたかな。

その後日本の遊郭に舞台を移します。
なんで原作通り芸者じゃないの?と思ったけれど、まあ視覚的に芸者さんだと地味かな〜とも思い納得した、というかさせられました。(笑)花魁道中が出てきて、なかなか良かったです。

ピンカートンと蝶々さんが初めて出会うシーンを作ったのも、効果的でわかりやすい演出だったと思います。

2幕目は蝶々さんの結婚式から始まり、「初夜のパ・ド・ドゥ」、場面変わってピンカートンが去った後。
この、オペラで言う2幕目以降が、わたしには少し物足りなかったです。
多分オペラの見過ぎだとおもいますがw

蝶々夫人の話は、基本的に悪人が一人もいない話です。(ピンカートンは悪人でなく軽薄で過ちを犯す普通の人)
つまりスカルピアとかイアーゴがいない、善良な人々しかいないのに文化と文化の衝突で悲劇が起こるという話だと思います。

たとえば、オペラではシャープレスなんて本当にいい人なんですよね〜。バリトンなのに(笑)
結婚するピンカートンに忠告もし、ただの現地妻である蝶々さんに心から同情して忠告し、破綻したあとピンカートンに怒りをぶつけるという。こんなアメリカ総領事いませんよねw
それが、このバレエだと、ただ蝶々さんに手紙を渡すだけの役になっていたのが残念。
あと、ケイトとかも本当にいい人なんですが、こちらもバレエではあまり性格が描けてなかったかな〜。

結果、市井の善良な人々の間で起こる悲劇という、オペラで感じるカタルシスが欠けていたかな〜と感じました。
踊りまくるところは本当に良かったんですが、終盤ドラマが動くところで舞踊ではなくマイムを多用したところも少し残念でした。

最初に父親の切腹を見ていたときと同じように、蝶々さんは自害し、目撃者である息子は短刀を持って舞台後方へ歩いていくところで幕。

いろいろ書きましたが、全体的に良く練れていて良い舞台でした。
花魁道中で高下駄をトウシューズで表現したり、黒子を使ったり、ボンゾーを武家の誇りある生き残りとしたところ、ヤマドリさんを日本陸軍の将校に読み替えたところなど、特に美術演出面で感心した公演でした。
熊川氏、本当に才能がありますよね!

町田さんのおかげで普段だったらおそらく見なかったであろうものを見られたということで、ありがとうを百回。

Tag : 町田樹 
    15:53 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top
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