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バイオリンと外宇宙の話 vol.2

町田樹さん最後の公演 「人間の条件」マーラーのアダージェット



明日、世界が
 滅びるとしても
今日、あなたは
 りんごの木を植える

開高健


町田さんのホームページより






予想通り連休中は廃人状態で過ごしましたが(笑)
無事行ってきました!さいたまスーパーアリーナ・町田さんの最終公演!!
2つの演目のうち「人間の条件」についてのみ書きます。(これでも十分長くなりますw)

本当に本当に素晴らしい作品だった。
そして、アダージェットという曲目を先に知れて良かった。
最後まで泣かずにしっかりと、パフォーマンスを堪能できました。(帰りの電車に乗ってからジワッと来ちゃいましたけどね)

S席から観たことで照明の素晴らしさも、俯瞰でしっかり堪能できたと思います。TV放送が一昨日あったのですが、あの大空間の照明の素晴らしさは、やはり半分くらいしか伝わっていなかったように思います。(カメラさんも頑張っていて美しい映像だったと思いますが)



町田さん以外に、いったい誰がアイスショーでこのような照明を発想できたでしょう。

革新的でした。
すべてが斬新でした。

黄昏を思わせるようなライトの中で、アラベスクのポジションでエッジワークのみを使って前後にゆっくりと動く始まり。
教会の窓からもれているかのような四角い白い光。
白い十字架のようなライトの中心にに倒れる町田さん。
滑った軌跡をなぞるようにリンクに残る白い雲海のような模様。
まるで人生の軌跡を表しているかのように…

神あるいは運命の支配者を象徴するのが青いライト。
青いライトとの対話がこの「人間の条件」を貫くテーマです。

曲が短調に転調する前、スタスタと歩いていくところ、TVではわかりませんが青い小さい丸いライトが雨のようにリンクのあちこちに落ちてきます。
そして、曲が転調し「怒り」を表すパートで、天上に吊るされたトラスに光る稲妻のような閃光が光ります。こんな演出初めて見ました。
青く染まったリンク、つまり運命にとりこまれた人間が、また遠くに白い雲海を見つけて歩み寄る。希望、でしょうか。

立ち止まった町田さんに下りる青いライト。(TVでもわかりますが、会場では天井から一本の細い青い線が落ちてきたかのように見えました。)それを手で掬い取るようにして飲み込む町田さん。

最後に青い光が四方から中心に注ぎ、中心に水色のライトが照らされる。運命を受容するかのように、その中に自ら入っていく「人間」。
中心の水色の光の中で手を伸ばす。「それでもりんごの木を植える」






マリオネットのような動きなど、全体的にベジャール/ドン版のアダージェットの影響が見られますが、この「人間の条件」はまぎれもなく町田さんのフィギュアスケート作品でした。
そして作品の隅々に町田さんの過去に滑った作品の断片が散りばめられていました。
それらの断片を編み直し生まれ変わらせた、まさに集大成の作品。

演技後、満員のさいたまスーパーアリーナが総立ちになり、アンコールがないとわかっても、おそらく町田さんは出てこないだろうとわかっていても、いつまでもいつまでも鳴り止まない拍手が続きました。
誰しもがこの空間を、もう少しだけ長く味わっていたかった。







ちょうど私が手の手術でバイオリンの活動をお休みにして、時間が出来自然テレビを見る時間が増えた頃からソチシーズンの町田樹の快進撃が始まりました。

私は昔から映画を見れば俳優より監督に惚れ、バレエを見たらダンサーより振り付け・演出家に惚れるタチでした。
町田さんが好きになったのも、アスリートでありながらプロデューサー気質というか、クリエーターの気概というか「あ、これは理想のフィギュアスケーターだ」ってビビーンって来たんですよね。
スポーツとしてのフィギュアスケートにまさかこんな人が、とりわけ日本男子シングルから出てこようとは思いませんでした。

自分のマイブーム歴はモーリス・ベジャールとかベルイマンとか色々あるんですが、町田樹さんに関しては、まだ出来上がっていない若い才能を発見できた自分がなんだか誇らしいです。(笑)

この4年間、現役引退後の素晴らしい円熟期をリアルタイムで、生で見られた巡り合わせに感謝します。

寂しさはありますが、10月6日彼はパフォーマーとしては終わるけれど、これからさらに才能が花開くことを確信できた一日でした。そしてその成果を見られる日も遠くないはず。
我々は何も失っていないのだと。

これからの活躍を期待してます。
町田さんもホームページで書いているように、「また必ずどこかでお会いしましょう。」
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