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バイオリンと外宇宙の話 vol.2

ノイマイヤー「幻想〜白鳥の湖のように」

よくソウルフードとかソウルミュージックとか言うけど、私の幼少期の一番の「好物」ソウルミュージックは、チャイコフスキーの「Swan Lake, Scene 1: Valse (Tempo di valse)」だった。



小さい頃バレエに憧れていたのだけれど、親は習わせてくれず、舞台を見る機会もなくテレビでも頻繁に放送してくれるでもなく、しかしですね、なぜか親が買ってくれたレコードがあったのです。(LPレコードというものですよ)

そしてそれは、アンセルメ指揮・スイス・ロマンド管弦楽団 「白鳥の湖 ハイライト」だった。

よーく覚えているのだ。
湖に一羽の白鳥(本物)が浮かんでいるリアル写真のジャケットで、ライナーノーツにはロイヤル・バレエの上演をもとにかなり詳細にストーリが紹介してあった。
写真もあった。(白黒だけど)

ので、より具体的にどんなストーリーなのか、どういう舞台なのかと空想しやすかった。
ああ、今この音楽のところでは、バレエではこういう感じなんだろうかと、妄想をたくましく過ごした少女時代でありました。
そういう経緯もあり、未だに自分にとっては、どんなジャンルの音楽でも音楽とは「見るもの、踊るもの」と捉えているところがあるなあ。(いやね、もちろん自分は踊れないんですが)

さて、この「白鳥の湖」、後にテレビで実際のバレエ全幕を見たら「え〜なんか想像してたのとぜんぜん違う」…と失望したところも多々あった。
中でも、この大好きだった1幕目の最初のワルツが期待はずれ。

アンセルメとスイス・ロマンド管の音楽は、私にとって高貴な、何か香水のような未体験の音楽で、その中でこの1幕目の最初で演奏されるワルツは、若々しさと青春の喜びの舞踊でなければならなかった。(と信じていた。)
LPに書いてあったストーリをふまえても、ジークフリート王子にとってはその後の悲劇を前に、「最後の」無邪気な青春の煌めきであるべきだ(と信じていた)。
いや、当時の自分が、こういうふうに言葉で考えてたわけじゃないけど(笑)

しかし、TVでボリショイ・バレエとかマリインスキー・バレエで見ても、このワルツ、貴婦人と王子の友人が普通に踊ってて「あっそう」って感じで何だかなあでした。(笑)

…と、長々と大昔の思い出話を書きましたが。

実は先日、自粛期間のGW中、世界各国の色々なバレエ団が色々な作品の無料配信をしてくださった。
ハンブルグ・バレエ団の配信で、ジョン・ノイマイヤー振付 「幻想 白鳥の湖のように」も全幕見ることができた。



全幕をノーカットで見られたのは本当に良かった!

そして、私の好きな、この1幕目のワルツ、このノイマイヤー・ヴァージョンでようやく理想のワルツを見られたと感じました!!(このビデオでは1分08秒のところ)
この曲に惚れて以来ウン十年。

ノイマイヤーのこの「幻想〜白鳥の湖のように」では、原作のジークフリート王子は、バイエルンの狂王・ルートヴィヒ2世に読み替えられている。

精神を病んだルートヴィヒが、監禁された部屋で追想する過去…

1幕目は、ノイシュヴァンシュタイン城の築城の上棟を祝って、市民や職人たちが集まってくる。
そして、私のソウルミュージックである1幕目のワルツは、この市民や職人たちが上半身裸で相撲をとったり、力比べをしたり、鉄棒や竹馬、バイエルン地方?の遊びや市民の娯楽がたくさんでてくる。王と友人もボクシングをしたり、もう無礼講で乱痴気騒ぎ。
(その後の貴族の踊りとの好対照)

ノイマイヤー


このノイマイヤーのヴァージョンを見て、私が小さい頃から求めていた「Swan Lake, Scene 1: Valse」の理想のダンスが完成したのでした。(わーい)
若々しさと希望のようなものをこの音楽からずっと感じていたのだけど、それをこうしてルートヴィヒの時代における市民階級と貴族の対比として表現したノイマイヤー氏はすごい!!

全編素晴らしかったのですが、このワルツのところは無料配信期間、何回も何回も繰り返し見ました。

DVDは残念ながら売り切れみたいですが、また日本でも販売されないかなあ。

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絵に描いたような暇な日々と町田樹さんのいろいろ

巣ごもり生活もついに1ヶ月目。
今月バイオリン活動はレッスンに行ったくらいです〜
あ、家で練習はしていますがね。なかなか合奏とかイベントないと練習はかどらないです(笑)

ついでに仕事も全部休みなので、もう暇を絵に書いたような生活ざんす。

生協でお野菜や魚介を買ってるので、もともとお買い物も肉を買いに行くくらいなのですが、スーパーマーケットが混んでるって話で、さらに行かなくなっちゃって。(数少なくなったマスクももったいないしね)

暇なのが私一人ならいいんですが、旦那ちゃんも仕事が減って家にいることが多くなり…
料理とか作ってくれるのはいいんですが、なんか居酒屋メニューばっかりw
コロナ太りじゃないけど体重が2キロも増えちゃいましたよおおお〜〜・゚・(ノД`)

さて、そんな暇な生活ですが、GW前に予定されていた東京・上野でのイベント「上野の森バレエホリデイ」の中止を受け、急きょ企画された「バレエホリデイ@ホーム」というネット配信がありました!

実はこのイベントの、ベジャール・バレエと東京バレエ団の合同公演の「ベートーヴェンの第九」、チケットを購入して楽しみにしていたのですが中止に(泣)

その代わり、東京バレエ団、東京シティ・バレエ団、牧阿佐美バレヱ団、Noismなどのバレエ団の過去の映像を見られ、ダンサーのトークも配信されました。

好評に付き配信は5月6日までやってます!

そしてそのトークになんと!
町田樹さんが登場しました〜♪
上野水香さんとのクロストークと、なんとまあ垂涎モノの企画…

バレエホリデイ

内容は、音楽と舞踊の関係、振付師の個性等々、大変おもしろく聴きごたえのあるものでした!

町田樹さん、5月1日はBSフジの「フィギュアスケートTV」にもご出演。



6月には博士論文に加筆した単著をご出版。

秋から國學院大學の助教に就任されるそうで、博士号も取得して研究者として本当のスタートラインに立ったのですね。現役引退のときの目標を有言実行で叶えられて、本当におめでとうございます。
実演家を引退されたときはオイオイ泣きましたが、これからの活躍を楽しみに生きますw

こちらの毎日新聞のインタビューも素晴らしいので必読です〜

町田さんのおかげで巣ごもりGWが本当の「ゴールデン」ウィークになりましたよ〜。

しかし5月も緊急事態宣言が続くらしいのでトホホです。
町田さん、なにかもう一つくらいイベントください(笑)
Tag : 町田樹 
    16:57 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

文化・芸術は水道の蛇口ではない 「びわ湖リング」神々の黄昏

コロナウイルス騒ぎでいろいろなコンサートやイベントが中止になってしまい、寂しい限り。

そんな中、一昨日土曜日、昨日日曜日と、びわ湖ホールのプロジェクトした4年がかりのワーグナー「ニーベルングの指環」の最後の演目「神々の黄昏」が、無観客上演に踏み切りました!
そして、定点カメラではありますが、それをライブでYou Tubeでストリーミング。
後日DVDで発売もするそうです〜

“無観客でワーグナー”ネット上演 新型コロナで公演中止 大津・びわ湖ホール

何でも一億円以上かけたプロジェクト。発売と同時にチケットは売り切れだったそうな。
さぞお客様を入れて上演したかったことでしょう。関係者の無念、お察しします。
しかし、ここでYou Tubeの無料ライブストリーミング上演を行ったことは、本当に英断だったと思います!

わたしは土曜日は銅版画教室があったので、仕事の合間にチラチラと上演を観て、Twitterをチェックしてたのですが、初めてワーグナーを観る方が「本当に素晴らしい」「こんなステージを無料で観られて本当に良かった」と感想を寄せていたのが印象的でした。
リアルタイム視聴者は1万人を超えていました!
びわ湖ホールが1800人のハコですから、本来であれば観ることのできなかった人に配信できたことになります。
演出がリアル・ワーグナーのト書き通り(それをプロジェクションマッピングなどハイテクを駆使して表現している)、わかりやすくて、あたかもラッカムの絵本を観ているかのような美しい演出だったのも好評につながったのかもしれません。

「神々の黄昏」は、わりと漫画やアニメ、ゲームとかで翻案されて使われることの多いコンテンツであることも、一度もオペラを観たことのない人が興味を持った原因でしょうね。

私もワーグナーにドハマリしたのは「神々の黄昏」がきっかけだったなあ。
ヴィスコンティの映画をみて興味を持ったのが最初だったと思います。
「神々の黄昏」から「ジークフリート」「ワルキューレ」「ラインの黄金」と、さかのぼって聴いていった感じ。

大学生だった頃、ちょうどCDが出始めたばかりのときでした。
ショルティ指揮の「ニーベルングの指環」全曲CDセットが、10万円超えのお値段だったのですよ(汗)
当然買えませんから、当時NHK−FMで年末の深夜にやっていたバイロイト音楽祭のライブ録音をカセットテープに撮って繰り返し聞いたものです。

一晩で一幕ずつ放送してくれるのですが、ワーグナーの1幕って結構長いんです。
90分のカセットテープだと一回裏返さなきゃいけないわけで。いやね、オートリバースなんて機能がその時持ってたラジカセじゃなかったもんでね(笑) うっかりウトウト寝てしまうと「あ〜〜〜いけねええ〜〜ひっくり返し損ねた!」みたいな惨事に。(爆)

でも、神々の黄昏は頑張って全録できたので、繰り返し聞きました。
セリフはまるでわからなかったのですが、その当時寺山修司監修の絵本(アーサー・ラッカム挿絵)が出たので、それを購入して物語を把握しました。

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まだ指輪全曲の対訳本も出ていなかった頃。
インターネットもなかった頃ですので、本当に少ない情報を苦労してかき集め、好奇心を埋めていたあの頃。いんや〜懐かしい。
人間、たやすく得られるようになると、逆に熱意を失うもんですね〜

今回の神々の黄昏は、あの頃バイロイト音楽祭の録音を聞き、ラッカムの絵本を見ていた時想像した舞台世界が実現したかのような演出でした。絵として本当に美しかった!!

きっと今回普通に上演できていたらこれほど話題にもならず、私も遠いびわ湖まで足を伸ばすこともなかったので、上演を注視することもなかったでしょうね。

リンク先の記事にあるように、指揮者であり芸術監督の沼尻竜典さんは、さまざまな分野で公演中止が相次いでいることについて質問が飛ぶと「我々は精いっぱいやれることをやるだけだが、文化・芸術は水道の蛇口ではない。いったん止めてしまうと、次にひねっても水が出ないことがある」と現状に懸念を示していらっしゃいます。

我々に出来ることは「灯をともし続ける」ことに他なりません。
東日本大震災のときも今回もそうですが、きっと何年かに一度こういう危機が訪れると思いますが、常に平常心で日々の生活を送ることを心がけたいと思います。
文化芸術は決して「不要不急の事柄」ではないと信じます。
    21:49 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

コロナ騒動とジョン・カリーのDVD

コロナ騒動、ひと月前までは考えられないくらい大騒ぎになってますね〜。

ウイルス予防については、インフルエンザと同じく、人混みを避ける、手洗いとうがい、等々、個人で気をつけられることは限られているんですが、トイレットペーパーやティッシュペーパーが買えないってのは困りますよね〜。

石油ショック時代の再現か!!
なんだか時代がこれだけ変わったのに人間は全然学習していないんだな…って、暗い気持ちになりますね。

そして、相次ぐコンサートやイベントの中止。
せっかくK.421で燃えていたのに、ご近所アンサンブルは公民館が閉まっちゃって中止になっちゃいました(泣)

そして、3月27日に予定されていた、町田樹さんの講演会も延期になっちゃいました〜(泣)
文京シビックホールで大体1,800人くらいのハコなので、まあそうなる気はしたのですがね。
中止でなくて延期で良かったですが、3月の楽しみがひとつ減っちゃいましたよ。(いや、1つじゃないんですが)

去年見に行った映画「氷上の王ジョン・カリー」のDVDが届いて、町田さんがオーディオコメンタリーをやっているので、それをお家でひたすら楽しんでます(笑)
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1時間半の映画の間、ずーっと町田さんの語りを聞けるという、すごくお得な感じです!!

さてさて
東日本大震災の時もそうでしたが、こういう社会的な問題が起きた時、人によって捉え方や行動が全然違いますね。
普段どおりの行動を取る人もいれば、過剰に考えちゃう人もおり。
中国を叩く人がいたり。
野田秀樹さんが劇場公演の継続を望む意見表明をしたら、叩く人がいたり。

ウイルス流行よりも、買い占め行動とかこういう現象のほうがよっぽど怖いです。

非常時こそ人間の本性が出る感じ?(笑)
冷静にわきまえつつ、普段どおりの生活を続けたいと思います!
Tag : 町田樹 
    20:06 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

町田樹さんとKバレエ・「マダム・バタフライ」の話

台風すごかったですね〜!
幸い我が家周辺は停電も断水もなかったのですが、川の氾濫で大変なことになっている地域の皆様、心からお見舞い申し上げます。

さて、実は台風の前日、東京文化会館にKバレエの新作「マダム・バタフライ」を見に行ってきました!
台風の日と次のマチネは休演になったので運良かったです。

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カーテンコールは写真撮影可だったのですよ♪

Kバレエの熊川哲也氏の作風は、ロイヤルの影響が強いマイム多用の物語バレエなので、実は今回のマダムバタフライも行くつもりなかったのです。(どちらかというとエイフマンバレエみたいな方が好みな私)

ところが、先月のダンスマガジンで町田樹さんと熊川氏の「マダム・バタフライを語ろう」という対談記事がのりました!(しかも8ページもっ!!)

ダンスマガジン201910

ほらね〜表紙にもスペシャル対談ってしっかり書いてあります!

対談内容は、町田さんがKバレエのリハーサルを見学して、マダム・バタフライのバレエ化するにあたっての苦労とか、音楽の使い方とかはたまたフィギュアスケート論にいたりました。
大変興味深かったです。

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もともと熊川さんはフィギュアのエキシビション大会の審査員をつとめたことがあり、昔から町田くんを知ってたんですよね。
その時も「一篇のショートムービーを観るかのよう」と褒めて頂きました。(^^)
そして、町田さんが熊川氏の影響を多大に受けていることはスケートファンには周知の事実。
いんや〜対談実現して良かったね町田さん!
熊川氏も、プロになってからの町田さんの作品をしっかり見ていただいたようでとても嬉しいです〜。

で、町田さんがおすすめなら〜と、久しぶりにKバレエに足を運んだという次第です。(わはは)

さて、ここからはバレエの感想です。
まずこのプッチーニの「蝶々夫人」というオペラ、グランド・バレエ化するにはオペラの通りの音楽を使えない。

これが「カルメン」だったらそのまま使えるんですが、プッチーニだとアリアのナンバーを並べて劇が進行するのではなく、劇進行にそってテーマがライトモチーフみたいに散りばめられていたりする。ワーグナーの影響かわかりませんが。

なので、熊川さんもマエストロ氏も、かなり曲の構成や編曲に苦労されたでしょう。(対談でもその点触れられていました)

感心したのは、出だし「君が代」から始まり、プッチーニの「武家の運命のテーマ」につながっていく編曲。
紗幕の向こうでは、幼い蝶々さんが武士だった父親の切腹を見ている。そして、その後遊郭の遊女たちの手招きする方へと歩いていく。(短い時間で蝶々さんの運命を語っています)

その後、すぐに舞台はアメリカに。星条旗よ永遠なれのアメリカ国歌。
物語のテーマが2つの国の文化の対立だと鮮やかに提示している点、大変感心しました。
ここのところはドヴォルザークの音楽を使っています。
ピンカートンとケイトがここで出てくるわけですが、まあここは少し長さを感じたかな。

その後日本の遊郭に舞台を移します。
なんで原作通り芸者じゃないの?と思ったけれど、まあ視覚的に芸者さんだと地味かな〜とも思い納得した、というかさせられました。(笑)花魁道中が出てきて、なかなか良かったです。

ピンカートンと蝶々さんが初めて出会うシーンを作ったのも、効果的でわかりやすい演出だったと思います。

2幕目は蝶々さんの結婚式から始まり、「初夜のパ・ド・ドゥ」、場面変わってピンカートンが去った後。
この、オペラで言う2幕目以降が、わたしには少し物足りなかったです。
多分オペラの見過ぎだとおもいますがw

蝶々夫人の話は、基本的に悪人が一人もいない話です。(ピンカートンは悪人でなく軽薄で過ちを犯す普通の人)
つまりスカルピアとかイアーゴがいない、善良な人々しかいないのに文化と文化の衝突で悲劇が起こるという話だと思います。

たとえば、オペラではシャープレスなんて本当にいい人なんですよね〜。バリトンなのに(笑)
結婚するピンカートンに忠告もし、ただの現地妻である蝶々さんに心から同情して忠告し、破綻したあとピンカートンに怒りをぶつけるという。こんなアメリカ総領事いませんよねw
それが、このバレエだと、ただ蝶々さんに手紙を渡すだけの役になっていたのが残念。
あと、ケイトとかも本当にいい人なんですが、こちらもバレエではあまり性格が描けてなかったかな〜。

結果、市井の善良な人々の間で起こる悲劇という、オペラで感じるカタルシスが欠けていたかな〜と感じました。
踊りまくるところは本当に良かったんですが、終盤ドラマが動くところで舞踊ではなくマイムを多用したところも少し残念でした。

最初に父親の切腹を見ていたときと同じように、蝶々さんは自害し、目撃者である息子は短刀を持って舞台後方へ歩いていくところで幕。

いろいろ書きましたが、全体的に良く練れていて良い舞台でした。
花魁道中で高下駄をトウシューズで表現したり、黒子を使ったり、ボンゾーを武家の誇りある生き残りとしたところ、ヤマドリさんを日本陸軍の将校に読み替えたところなど、特に美術演出面で感心した公演でした。
熊川氏、本当に才能がありますよね!

町田さんのおかげで普段だったらおそらく見なかったであろうものを見られたということで、ありがとうを百回。

Tag : 町田樹 
    15:53 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

バイロイト音楽祭2019 ワーグナー 「タンホイザー」

この前の日曜日の深夜、今年のバイロイト祝祭劇場での新演出・タンホイザーを放映してました。
ゲルギエフの指揮ということで前から楽しみにしていたのですが、演出がトビアス・クラッツァーというトンデモ演出のかたなので、どうなることかハラハラドキドキだったのです。

が、これが本当に面白い演出で。いや、もちろんトンデモ演出だったのですがw、去年放映されたローエングリンとかトリスタンとイゾルデとかが「ハア?」としか言いようがない演出だったので、このタンホイザー久々の私的大ヒットって感じです。



出だし、ヴェーヌスブルグの音楽に乗ってシトロエンで疾走する4人組

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何でも「移動式サーカスのメンバー」だそうで、タンホイザーはピエロの格好をしてます。運転手&座長はパンクな格好のヴェーヌスなのね。

ここで、原作にないキャラが二人登場。
ブリキの太鼓の小人オスカルくんと、黒人のオネエ、ドラッグクイーンのル・ガトー・ショコラちゃん。
ちなみにル・ガトー・ショコラは役名だけでなく芸名でもあるそうです!

道中色々あって、何もかも嫌になって逃げ出したタンホイザーは、気絶しているところを自転車に乗った牧童(笑)に助けられ、なんとバイロイト祝祭劇場に連れてこられます。
どうもタンホイザーはじめヴォルフラムもワルターも、すべての登場人物はこのバイロイトで働く歌手たちらしい。
ここで、この演出は「メタ・歌劇」とか「メタ・タンホイザー」とか、「バイロイト祝祭劇場の物語」だということがはっきりするという仕掛け。

タンホイザーを追いかけてきたヴェーヌス、オスカルくん、ショコラちゃんの3人が劇場に到着して第一幕終了。

いやね、夜ふかしするつもりなかったんだけど、一体これからどうなるんだろうとワクワクし、つい最後まで見ちゃいました(笑)

このメタ・シアターの演出は2幕目で最高に発揮されます。



幕が上がる前からステージに白いフレームが作られています。その上のスペースで楽屋裏で起こっていることを同時に白黒の映像で流す仕掛け。

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舞台下部(白いフレームの中)では歌手が今現在リアルタイムで演じているのですが、実はそれは演じられた役=虚像であって(白いフレームはテレビ画面の枠のように感じられます)、実は歌手の本当の真実は上に流れる白黒の映像(もちろん過去に収録したもの)という。

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追っかけてきた3人組、開幕ラッパを吹くあのベランダからはしごで侵入(笑)
ワーグナーの革命時代のスローガン「欲する自由、行動する自由、楽しむ自由」という標語をベランダに掲げます。

で、なんと現地観劇された方の話によると、2幕おわって休憩で外に出てくると、実際にベランダにはしごと標語が掲げてあったそうな!
中庭の池ではオスカルくんとショコラちゃんのパフォーマンスもあったそうですよ〜。
まさにまさに、メタ・シアター!!

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2幕途中、タンホイザーがキレて他の歌手と本気で喧嘩をおっぱじめる所から実像と虚像が入り混じります。
ヴェーヌスの歌とともに3人組が登場!
ヴァルトブルクとヴェーヌスブルグがなんと一堂に会するという快挙(笑)

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舞台上が大騒ぎになったところで、なんとカタリーナ・ワーグナー登場。(ワーグナーのひ孫さんで現バイロイト総監督)警察に110番。
タンホイザーはローマならぬ駆けつけた警察へしょっぴかれていきます〜。



3幕目はだいたいどの演出見てもダレるところなんですけれど(合唱くらいしか動的なドラマがないためか)、この演出ではブリキの太鼓のオスカルくんが歌わない役ながら「傍観者」として、そこに起こる静かなドラマを冷静に見つめ、あるときは登場人物に同情し、共に悲しみ、感情を増幅すべく機能していて大変効果的でした。ブリキの太鼓の映画でも、オスカルくんは歴史の傍観者でした。

全体的に、単純に演劇としても面白く、演奏も良かった。
といっても、最初は演出ばかりに気を取られて演奏まで気が回らなかったんだけどw

随所に笑いも盛り込まれていて、例えば巡礼の合唱・バイロイト詣のお客さんが暑いのでパンフレットでパタパタ仰いだりw(開演前の客席の皆がやっていたこと)、舞台裏でショコラちゃんがティーレマンの写真の前でうっとりしたりw(観客は大爆笑)

なにより奇抜に見えてしっかり音楽に合っている、音楽を疎かにすることがないあたり素晴らしいと思います。2回見て、よく練られた演出だと確信しました。
このクラッツァーさん、別のところでも以前タンホイザーやっているそうですが、今回はバイロイトで上演することを意識して全面的に変えてきたのですね〜。

しかし、3幕目の最後のライトが消えるとブーイングとブラボーが半々くらい(笑)
特にゲルギエフと演出スタッフはブーイング多かったですね。
ゲルギエフは直前にお母様が亡くなられて、初回はキャンセル、2回めから振ったらしいです。準備不足だったのかな?
それはともかく歌のない演技だけのショコラちゃんにブーイングが出たのはひどいと思ったなあ。だって、演出家の言うとおりに演技しただけじゃんね。

この演出に一つ難があるとすれば、オリジナルを知らなくてはパロディーは成り立たない(コンテキストが紐付けられない)ことかな。
初めてタンホイザーを見た方には、何が面白いかさっぱりわからないかもしれないです。ブリキの太鼓のオスカルくんもそうかもしれない。ま、そんなに歌詞とも乖離してない演出だとは思いましたがね〜。

バイロイト、NHKプレミアムシアターで毎年一つはやっていただけるので、5本に1本はこういう名作に巡り会えてうれしいです。
ぜひ来年はリングの新演出を4晩連続で〜!(難しいかな?)
    14:07 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

エイフマン・バレエ

4年間すべての遊興費をフィギュアスケートにかけてきたのですが、押しがプロも引退しちゃったためにw元の嗜好に戻るべく、久々にバレエ見に行きました。

エイフマン・バレエ

ロダン〜魂を捧げた幻想〜



実はこのエイフマン・バレエ、21年ぶりの来日!
前回来たときはレニングラード・バレエ・シアターという団体名でした。
実はこの時NHKで放送された「チャイコフスキー」という作品が大変私のツボにはまり、21年経ったんですが未だに覚えてるくらいです。(VHSビデオで録画したのでもう見られませんが)

で、今回の来日、絶対行くぞ〜と楽しみにしておりました。

昨日が「ロダン」東京初日。

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いや〜すごかった!
なんでも女子は身長173センチ以上、男子は184以上じゃないと入団できないそうで(汗)
スタイル良すぎのダンサーばかり(しかし身長はみなが高いと舞台じゃわかりませんねw)

そして、そりゃー1番テクのある人はボリショイとかキーロフに行くのでしょうが、そこはやっぱり層の厚さ。ロシアバレエダンサーならではのアクロバティックな高いリフトや開脚。コール・ド・バレエもさすがのレベル。

そして、何よりもエイフマンの演出。
スピード感ある場面展開、装置の素晴らしさ、照明のセンス。
写真にあるロダンの「地獄の門」が暗闇から出てくるところなど、おお〜って感じでした。
さらに、彫刻をダンサーを使って表現する所、いろいろな工夫があって目からウロコ。

ドラマはしかし、「ロダン」というより「カミーユ・クローデル」って題名にしたほうが良いかもですね(笑)
ロダンはなんかダメダメな人でした。(このバレエではね)
英語の題名だと「Rodin,Her Eternal Idol」となっていて、こっちのほうがピンとくるかなあ。

カミーユ・クローデルは映画を見損なっちゃってるんですが、このバレエではすごく攻撃的な感じ。戦う女。
ロダンの奥さんとの三角関係とか、カミーユが狂っていくところとか、なかなか内容的に重たいんですが、コール・ド・バレエを効果的に挟んで(これがわりとザ・ロシアバレエ)エンターテイメントとして飽きないように作られていたり、音楽も耳馴染みの良いわかりやすいものを選んでいたりして。
エイフマン・バレエが興行的にも成功しているのに納得です。

そうは言っても、2時間途切れなく見せ場が続くので、かなり疲れましたが…

NHKのカメラが入っていたのでプレミアムシアターでやるかもしれないですね。
楽しみ2倍〜って感じです!

    12:15 | Trackback : 0 | Comment : 2 | Top

氷上の王ジョン・カリー ジャパンプレミア

熾烈なチケット争奪戦を経てゲットした「氷上の王 ジョン・カリー」ジャパンプレミア。

行ってきました〜!!

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仕事を終えて気の早いことに早速新宿に向かったのですが、恐るべきことに軽く道に迷いましたw
昔は毎日のように通ってたのになあ。

で、腹ごしらえをして、これまた気の早いことに6時半ちょっと前には新宿ピカデリーについちゃったのですが、映画館はまるでアイスショーのように、9割方女性客の人だかり。
(私のように)気の早い方ばっかり。

なんだかロビーが人で一杯で異様な雰囲気です。
開場するとすぐお土産のプレス冊子などを頂いたのですが、嬉しいチラシも入っていました。

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町田樹さんの決定版作品集!!
10月発売〜〜っ!!

いや、嬉しいのですが、反面スケーターとしての特集号はこれが最後だな〜と思うと寂しくもあり。
ちょうど引退1周年の頃に出版されるのですね。


さて、映画の感想です。
(以下ネタバレを含みます)




ジョン・カリーは昔から好きでYouTubeで見ていたのですが、私の好きなプログラムはあまり入ってなかったです。
After Allとか、ノクターンとか、スケートの歴史(マイアベーアのスケートをする人々の曲)とか、題名は忘れちゃったけどタンバリン持って踊るやつとか…
画質が悪いせいかもしれないですね。

演技の映像が細切れで、一つのプログラムを全部見せるところがなかったのが少し残念かな。
でも、沢山の作品が良い画質で残っているのを見て、やっぱり映像で残すことは大事だな〜って思いました。

ドキュメンタリー映画としてはとても秀逸で、オリンピック金メダリストとしての栄光、プロとしてこだわりのアイスショーを制作するカリーのこだわり、晩年の不遇など描かれていて1時間半があっという間でした。

金メダルをとった時のことを、「それが(母に対する)唯一の親孝行だった」とふり返る晩年のカリー。
マスコミに自らの性的マイノリティーを報道されてしまったカリー。
日本公演の時、リンクの広告、テレビ局の変な演出に怒り、「こんなところで滑りたくない」とこぼすカリー。
常任指揮者までやとって、METに氷を張って生オーケストラで滑るこだわりのアイスショー。
それが終わった時、夢がかなった時、泣きながら「もう滑るのをやめていいか」とカンパニーの団員に聞くカリー。
そしてエイズを患って、スケートを辞めて、母親と過ごす最後の日々…。

印象的な場面がたくさんで本当に素晴らしかった。
ジャンプ技術的に今日の目で見れば物足りないところもあるのでしょうが、カリーのポール・ド・ブラも足元もスケーティングも何と素晴らしい美しさ!
フィギュアスケートだけでなくバレエが好きな方にも超絶オススメの映画です。


さてさて映画が終わり、5分休憩の後、皆の待ち望んだイベントです!!
町田樹さんと宮本賢二さんのトークショー!!



町田樹×宮本賢二「未来へと受け継がれるジョン・カリーの魂」

町田樹、ジョン・カリーへの尊愛から令和のフィギュアスケート界まで語り尽くす

宮本賢二さん&町田樹さんが映画「氷上の王、ジョン・カリー」ジャパンプレミアに登場!「ジョン・カリーは“ポラリス(北極星)”」

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町田さんは字幕監修の仕事を去年の8月から関わってきたそうな。
思い入れがある分、喋る喋るw
賢二先生の5倍位喋るw
そしてその横でニヤニヤしている賢二先生。

いやー充実したトークショーでした。

興味深かったのは、町田さんがカリーの自伝を読んで披露したエピソードで、インスブルックオリンピックで金メダルをとった時、一ヶ月前からカリーは練習でもずっとノーミスだったということ。
MCの方に「それはどのくらい難しいことなんですか」と聞かれ、「自分がソチシーズンの火の鳥を1ヶ月ノーミスしろと言われたとして、ロト6を当てるより難しい」と。

もちろん4回転時代とカリーのトリプル時代と比較するのは無謀なんですが、逆にカリーの時代は男子フリーは5分間ありましたからね。すごい精神力!

その他にも色々な話題が出たのですが、わたし個人がカリーと町田さんに感じる親和性は、「オリンピックや競技会で勝つことが目的ではなく、それを経てプロになって自分の目指す理想のプログラムを作るのが目的」…っていうところですかね。

カリーは金メダルを取らなければ自分のカンパニーを作って自由な創作活動を行えないと思っていたし、町田さんも(残念ながら僅差でメダルは逃しましたが)自分がプロとしてやりたいプログラムがあり、スポーツ科学の研究者として行いたい研究があり、そのために死ぬ気でソチ五輪を目指した。

町田さんにとってカリーは「ポラリス(北極星)」のように不動の起点として輝いている人だそう。
現役時代からの町田さんの活動を見ていると、なるほど納得です。

予告編や公式サイトでの町田さんの文章で、

「私はその華やかな舞台の裏で彼が一人抱えていた葛藤を目の当たりにした時、このスポーツを取り巻く諸問題が、未だ根本的に解決されていないことに愕然とするのである。私たちは、今もなお多くのスケーターがカリーと同じような芸術上の葛藤を抱えて氷上に立っていることを、決して忘れてはいけない。」

…とあります。
競技者として芸術的な表現を妥協しなくてはいけないという意なのかなと思っていましたが、今回のプレス向けの冊子を読むともう少し突っ込んだ内容で、

採点をめぐる公平性の問題
スケーター特有の怪我や精神疾患の問題
練習や舞台環境の問題
カンパニー経営の問題

とあります。

同じ葛藤を抱えて華やかな氷上で活躍する現役選手、プロスケーターたちをこれからも応援して下さい、と締めくくられたトークショー。
ブラボーでした!

大満足の夜でした。
そして来週5月19日(日)にはプリンスアイスワールドの町田さん解説バージョンがBSテレ東で!

雑誌のインタビューも2つ3つ発売されるし、当分町田ファンには楽しい日が続きます。(しあわせ)
Tag : 町田樹 
    19:02 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

氷上の王、ジョン・カリー

めったに映画の前売り券なぞ買わないでその場の気分で映画館に飛び込む派なんですが、これはしっかりムービーチケット購入済みです!



インスブルック五輪男子シングルで金メダルを獲得したフィギュアスケーター、ジョン・カリーのドキュメンタリー。

実は昔から興味があってYouTubeで見ていました。
今はフィギュアは男子シングルでもバレエの影響を受けた人たくさんいるけれど、カリーがその先駆者だそうです。

初めて見たときはポジション重視のスローなスケーティングが新鮮で衝撃を受けました。
新採点法になってからは、SS(スケーティングスキル)を稼ぐために、どんなスローな曲でもびゅんびゅんスピードつけて滑る人増えたのではないかしら。
音楽の緩急とスケーティングの緩急が芸術的に調和しているカリーのスケート。現在の採点法だとどのように評価されるのか興味あるところです。

そして、この映画の字幕・学術監修が我らの町田樹さん!!

以前「KISS&CRY」という雑誌の「プログラムという宇宙」という連載で、町田さん一番最初にカリーを取り上げてます。
この映画のプログラムにも解説書いてるそうで。
コロリと釣られてムービーチケット買いましたw

↓のカリーの作品「牧神の午後」ですが、最後のへん、9分2秒のところ、アラベスクで片足で前に進み、エッジワーク?重心の変化?のみで後ろに進むというところがあります。



これ、町田さんの最後の作品「人間の条件」の冒頭、黄色いライト(町田さんによるとヤコブの階梯)に照らされて同じことやってますよね!



カリーは幸い映像が豊富に残っているので、いまでも私達みることができるけど、映像へのこだわりのようなところも我らが町田氏、カリーの影響を受けてるんでしょうね。

↓こちらに町田さんの最新のインタビューがあります。
カリーの映画についても語ってます。

町田 樹というミステリー ――現役引退後の変化と幸せ、フィギュアスケートへの醒めない愛と夢

これだけの内容、タダで読めるのもったいなさすぎ!ってくらい良いインタです〜。
映画は5月31日公開!
今から楽しみです。
Tag : 町田樹 
    15:27 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

町田樹さんの特集 ヒューマンウォッチャー

まっちー話です♪

去年の10月6日のさいたまスーパーアリーナでの引退公演のあと、版画教室の生徒さんにも美容師さんにもw 「町田さんの引退公演どうでした〜?」 「寂しくないですか〜?」なんて心配そうに聞かれます。
いやまあそれだけアタシが皆に喋りまくったのですがw
特にあの日はお教室を休んで行ったので、生徒さんに説明したりしたからね〜w

正直、公演後一週間くらいは、そりゃー上がったり下がったりのメンタル状態で泣いたり笑ったりしてましたがw 
実は、その後も立て続けに町田さん関連イベントがあって、割と寂しがってる暇ないんですよね。

まずは解説。10月6日の御本人出演のCaOIを自ら解説。
解説はこれからも続けてくれるそうなので楽しみです。

それから、前に書いた「町田樹の世界」という本とは別に「町田樹の地平」という本が出版。

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これがなんと、付録つき限定版と通常版の2種類があるという。
そりゃ2冊買っちゃいますよね〜。(町田さんよ、きみはお金のかかる男です)

さらに!!
Jsport4(CS有料放送)の「KENJIの部屋」という、振付師の宮本賢二さんのトーク番組に、満を持して町田さん登場!
12月に2週にわたって前・後編があるというので、思わず視聴契約してしまいました。

いやね、オンデマンドでも見られるのですが、やはりここはガッツリ録画したいじゃないですか!
30分ずつの番組✕2で、1時間も町田さんが喋ってるの聞けるのだし〜!ってことで!ケチなkeroですが動きました。
1ヶ月分2800円。チャリ〜ン。
(町田さんよ、きみは本当にお金のかかる男です)

そしてしっかり録画もでき、さあ1月になって視聴契約解除しようかな〜と思ったら…

2月に「町田樹特別編」を2時間にわたってお送りします とアナウンスが。
いやね、たしかに前後編だけじゃ全然足りないとは思ったんですよ。(収録は3時間位かかったそうですので)
というわけでまたまた契約続行…
チャリ〜ン。
(町田さんよ、きみは…以下略)

本も内容が濃くてすごく面白かったし、KENJIの部屋は、例の「人間の条件」のライティングについてすごく興味深かった。
というわけで、あまり寂しさを感じずに年を越したわけです。

そして一昨日ですが、テレビ東京で去年の引退公演CaOI2018での密着取材がオンエアされました。

→20190202 ウォッチャー 町田樹Part1



→20190202 ウォッチャー 町田樹Part2



あの10月6日の記憶が蘇って、ちょっとウルウルしてしまいました。
番組の中では、町田さんの引退についてインタビューを受けて、答えられずに泣いちゃうファンの方もいたり。
演技が終わったあと号泣するファンとかも写っていたりして。
私も実はあのとき相当メソメソしてましたが…

それよりも何よりも、このドキュメンタリーを見て、さいたまスーパーアリーナに現地入りしてから本番までの2日間、町田さんがどんどん消耗していくのが手に取るようにわかり、辛かったです。
現地でJOゲストの演技「ダブルビル」を見たときには、さすがのキレキレの動きで、調子良いなと感じたんですが、実はその出番の直前、足がつりそうになっていたとは。
トレーナー氏が「専門的な見地からするとうまくいかない可能性を感じる」と言ったことに衝撃を受けました。

リハや練習、深夜に及ぶ照明・演出作業。
JOのあとにも引退セレモニーがあったし、さらに密着取材もあったとなるとかなりの負担だったでしょうね。
CaOIを見ていて、町田さんが最終滑走だと気づいた時には(JOゲスト演技からの長時間の待ち時間、長時間の、それも初演の演技、集中力、体力…と考えて)ドキリとしたもんです。

でも、本当に素晴らしい作品を届けてくれた。
わたしたちが、アンコールは決してないと思いつつ、長い長い拍手をしていたとき、演技を終えて階段を降りてきた町田さんは、こんなに精根尽き果てた表情をして壁にもたれかかっていたんですね。

番組ではジャンプの失敗に焦点を当てていましたが、私にとっては、瑕疵があったとしても全く気にならない素晴らしい作品でした。

「たとえ重大なミスをして、足の骨一本折ってでも最後まで。その覚悟だけで動いていた」
という町田さんの言葉。
KENJIの部屋でも言っていたけど、フィギュアスケートは芸術であると同時にスポーツだから、失敗のリスクがあれど、自分のできる最大限の技を組み込んでこそ観客の心に響く演技ができる…と。
とかく芸術面だけ言われがちですが、本当にこの人の本質はアスリートなんだなと感じました。

「人間の条件」は、町田樹さん(または町田さん以外のスケーターでも)一人で、振り付け、演出、照明、テレビアングルの監修、実演のすべてをこなせるギリギリ最大限の作品だった。
だとすれば、彼自身の身体表現を離れたことで、より今まで以上の作品の可能性が広がるのではないだろうか。
インタビューで「振り付けはご縁次第」と語ってらっしゃいますが、ぜひとも創作を続けてもらいたいと思います。





その他にこの番組では、今年の1月4日の日光の「氷上スポーツ学会」立ち上げの町田さんの記念講演会の模様も少しですが収録されていました。
参加された方によると、それはわかりやすく立派な講演会だったそうな。

→参加された方のブログ
→会員の方のブログ

こういう活動はあまりスポーツ番組では報道されないかもしれないけど、町田さんの信ずる方向でフィギュアスケート界が「ブームではなく文化に」変化していけば良いなあと思います。

「これが本当に最後の密着取材」なんて言わずに、ぜひテレ東さんには今度は研究者の町田さんの密着取材をお願いしたいです。
Tag : 町田樹 
    18:11 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top
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