GWは楽しく遊び狂ったkeroですが、その一つに毎年この時期に新横浜スケートセンターで行われるPIW横浜公演(プリンスアイスワールド)がありました。
町田樹さんのプロ引退でしばらく行かない年もあったのですが、去年から田中刑事さんとタッグを組んで色々面白いプログラムを披露。今年は新作を田中さんに振り付けるという一大イベントがっ!!プロでなくてはできないような(つまり試合ではできないような)プログラムを披露するそうです。何と、わざと失敗のジャンプやスピンを組み込むとか!
実は一昨日日曜日にBSテレ東でこのPIWの録画放送がありました。解説はもちろん町田樹さん!
いやねー、去年の「継承プロジェクト」も、町田さんが滑った作品を刑事くんがどう滑るのかと、とっても興奮したんですが、なんと言っても新しい作品!!町田さんが新しい作品を!!
「ショパンの夜に」
町田さんのHPのライナーノーツにはこうあります。
「ショパンの夜に」どうするのか、どうなるのか—— 、その解釈は演者と観者の双方に委ねられる。ひいいいいいい楽しみで楽しみで、私が見に行ったのは公演2日目だったんですが、「お、次刑事くんだ」と、思わず座り直して姿勢を正したりして。こういう作品の細部まで見逃すもんかみたいな気持ちは久しぶり。そう、町田さんの新作を楽しみに4年通ったあのとき以来ですよ!!
さ〜て、現地で見た感想ですが…
とても一度で咀嚼できなかった(笑)こういう気持ちも久しぶり!
町田さんがプロデビューした2015年の「継ぐ者」でも全く同じ気持ちでした。
見ても見ても、まだ捉えきれないような気がして、もう一度見たくなってしまう。
で、このTV放送ですよ〜
何よりもこの「ショパンの夜に」を何度も見返せるということで、すべての予定をキャンセルして(笑)テレビの前で待機しました。
この作品は2つのショパンのプレリュードop.28で構成されていて、
1曲目 第4番
2曲め 第24番
という構成です。
1曲目。
ポツポツと降る雨を両手で受けながら、スケート靴で雨をなぞらえたり、リンクを鳴らしたり、手を打ち鳴らしたり…
テレビ放送では田中刑事さんが出す音を全部拾いきれなかったことが残念。(自分の頬を叩いたりする演出もあった。)
音もスケートの一部だと言わんばかりの演出がかなり衝撃的でした。
2曲めは「横殴りの雨」と町田さんが言っていたように、絶望から行動へ…いや、より前向きに怒りへというべきか。
この曲、昔ダン・タイ・ソンが最後の最低音のDをコブシを使って叩いていたのを思い出します。
最後の3音は
「棺桶を石で三度叩いて死者を葬る儀式の音になぞらえられる。」そうな。
「果たして男は、何に向かって最後の鉄槌を下し、しかもなお、いかに在ろうとしたのか—— 。」ショパンがロシアのポーランド侵攻に激怒して「革命」エチュードを作曲したというエピソードを思い出します。
上のYou Tubeの密着映像で言っている通り「こういうご時世だからこそ」
つまり、ロシアのウクライナ侵攻や、それに伴う理不尽な犠牲を念頭においての、前向きな怒りなのか…
それにしても、刑事くんの悩み、苦しみ、怒りを表出するさま、技術も表現も、なんとよく振り付けにあっているか。
現役時代はそんなに表現者タイプとは思わなかったんですが、ここに来ておおっと本当に感動しました。
よく町田さんが「演者の相貌」が大切、と言っていたんですが、こういうことなんだ〜と納得しました!!素晴らしいプロデュース能力&演出能力と思います!
あと面白いのは、この1曲めの第4番は横山幸雄さんの演奏なんですが、第24番はTVアニメの「ピアノの森」で使われていた一ノ瀬海の演奏、となっていること。
これっていちおう匿名演奏ってことでCDとか出ているけど、実は反田恭平さんという噂が。
この前の反田恭平さんと町田さんの対談も、案外ここから企画ができたのかな、なんてね〜〜。
他者の肉体を使って振り付け作業をする、表現作業をするということは、これからの町田さんにとっては無限の可能性を得たようなものでしょう。
いや、本業の大学の先生業もあるから、そうそういろんな人とタッグは組めないかもしれないけど…
本音を言えば、もっともっと沢山の人と創作活動してもらいたい!
そして、毎年一度、春の新横浜で新作を見ることができるなら!!
町田さんの引退のときオイオイ泣いた自分も報われるというものです。(爆)
押しの才能を信じてここまでついてきて本当に良かったよお〜!!